銀行の「遺言信託」は使うべき?——費用相場と弁護士・司法書士への依頼との違い
銀行が提供する遺言信託サービスの仕組みと費用相場を、弁護士・司法書士に遺言作成を依頼する場合と比較して解説します。
「遺言信託」は信託銀行が提供する遺言サポートサービス
「遺言信託」という言葉を聞くと信託の一種を連想しますが、実際には信託銀行や大手銀行が提供する、遺言書作成のサポートから相続発生後の執行までを一括で請け負う商業サービスを指すことがほとんどです。法律上の「信託」とは異なる商品名であることに注意が必要です。遺言書の作成相談、保管、そして相続発生後の遺言執行までをワンストップで任せられる点が特徴です。
遺言信託でできること・費用の内訳
- 遺言書作成のコンサルティング:公正証書遺言の作成に向けたアドバイスを受けられます(実際の文案作成は提携の弁護士・司法書士が担当することが一般的)。
- 遺言書の保管:作成した遺言書(の正本や関連情報)を銀行が保管します。
- 遺言執行:相続発生後、銀行が遺言執行者として、財産目録の作成・名義変更・分配までを執行します。
費用の内訳は主に「基本手数料(契約時)」「保管料(年額)」「執行報酬(相続発生時、財産額に応じた比例報酬)」の3段階です。執行報酬は財産総額の1〜2%程度、最低報酬額100万円前後に設定されている商品が多く、財産規模が小さいと割高になりやすい点に注意が必要です。
弁護士・司法書士に依頼する場合との違い
- 費用水準:弁護士・司法書士への遺言作成報酬は5〜20万円程度、遺言執行報酬も財産額に応じて数十万円〜100万円程度が目安で、遺言信託より総額を抑えられるケースが多いです。
- 相続トラブルへの対応力:遺言信託は「相続人間で争いがない(争族にならない)」ことを前提としたサービスであり、遺留分請求など法的トラブルが発生した場合は対応できず、結局弁護士に別途依頼することになります。
- 柔軟な相談のしやすさ:弁護士・司法書士は個別の家庭事情に応じた細やかな提案がしやすい一方、銀行の遺言信託は商品化されたパッケージのため融通が利きにくい面があります。
遺言信託が向いているケース
- 相続人間の関係が良好で、争いになる可能性が低い
- 財産規模が大きく(数千万円〜億単位)、執行報酬の最低額を気にしなくてよい
- 取引のある銀行に一括して任せる安心感を重視したい
- 身近に相談できる弁護士・司法書士のあてがない
契約前に確認すべきポイント
遺言信託を契約する際は、解約時の手数料や、遺言内容を変更する場合の追加費用を必ず確認しましょう。また、相続発生時にトラブルが生じた場合、銀行は遺言執行者を辞任し、結果的に別途弁護士費用がかかることもあります。契約書の細部まで確認し、想定されるケースごとの費用を明確にしてから契約することをおすすめします。
まとめ
遺言信託は安心感とワンストップ性が魅力ですが、費用面では弁護士・司法書士への直接依頼より割高になりやすい傾向があります。財産規模・相続人間の関係性・費用のバランスを踏まえ、自分の家庭に合った依頼先を選びましょう。
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