遺言書にはデジタル資産(ネット銀行・仮想通貨)も書くべきか——記載方法と注意点

ネット銀行口座や仮想通貨などのデジタル資産は、遺言書に記載しないと相続時に発見されないリスクがある。書き方と注意点を解説する。

デジタル資産の相続が難しい理由

ネット銀行・ネット証券・仮想通貨(暗号資産)などのデジタル資産は通帳や書面が存在しないため、遺族が存在自体に気づかないまま相続手続きが進んでしまうリスクがある。従来型の銀行口座であれば通帳や郵送物から発見できるが、デジタル資産はログイン情報がなければ相続人が資産の存在すら把握できないことが多い。

遺言書に書いておくべき情報

  • 利用している金融機関・取引所の名称:どのネット銀行・ネット証券・暗号資産取引所を利用しているかを明記する
  • 口座番号やおおよその資産状況:具体的な残高は変動するため詳細な金額まで書く必要はないが、口座の存在自体は明記しておく
  • ログイン情報の保管場所:ID・パスワードを遺言書本文に直接書くのは避け、別途保管している場所(信頼できる家族への伝達方法や、パスワード管理サービスの利用など)を示しておく

パスワードを遺言書に直接書いてはいけない理由

公正証書遺言は公証役場で保管され、自筆証書遺言も法務局保管制度を利用すれば一定の第三者が関わる。ログインIDやパスワードをそのまま遺言書に記載すると、生前に情報が漏洩するリスクや、遺言書の内容を確認できる関係者に不正利用されるリスクがある。パスワード自体は「エンディングノート」など遺言書とは別の非公開の書類にまとめ、遺言書ではその保管場所や存在だけを伝えるのが望ましい。

仮想通貨(暗号資産)特有の注意点

  • 秘密鍵・シードフレーズを失うと資産に永久にアクセスできなくなる:取引所を介さないウォレット保管の場合、秘密鍵の管理方法を遺族に伝える手段を用意しておく必要がある
  • 評価額の変動が激しく、相続税評価のタイミングに注意が必要:相続開始時点の時価で評価されるため、変動リスクを踏まえた準備が必要

専門家への相談も検討する

デジタル資産の相続は比較的新しい分野で、金融機関ごとの手続きも整備途上にある。デジタル資産の種類や金額が大きい場合は、行政書士・弁護士などデジタル資産の相続に詳しい専門家に相談しながら遺言書を作成すると安心だ。

まとめ

デジタル資産は「存在を知られないまま相続財産から漏れてしまう」リスクが最大の問題だ。パスワードそのものは遺言書に書かず、資産の存在と保管場所の情報だけを遺言書やエンディングノートに残しておくことで、遺族が資産にたどり着けるようにしておこう。

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